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恋人岬の先端を左に進んで黒島の方を眺めていると背後から波の音が聞こえます。海は眼下から前に見えるのに波の音が背後から・・・？ちょっと不思議な感覚になります。
少し降りるのが困難ですが崖を降りてみるとその正体がわかります。

昔、周参見から江住に向かう小舟があった、小舟には母を見舞う娘とその娘を親切にも送っていく若い船頭が２人で乗っていた。
２人は周参見から江住に向かう街道が途中で崖崩れで塞がれていたため一刻も早くと少々荒れた海に船を出した、しかしあいにく見老津沖でシケにあい陸の黒島の影に船を回したものの潮に流され何とか死に物狂いで辿りついたのがこの洞窟。
大きな洞窟には若い船頭が、小さな洞窟には娘が打ち上げられ難を逃れた。シケがおさまった次の日には娘は無事に江住の母の元に送り届けられた。後に若い船頭と娘はこれが縁で結ばれ幸せな家庭を築いたという尊い場所である。

男性は大きな洞窟から、女性は小さな洞窟から海水を汲んで１つに合わせると２人の願い事が叶うといわれています。

この場所はすさみ町の人でも知るひとぞ知る場所であり、降りて行くには非常に危険を伴います。ハイヒールやサンダルなどの軽装では決して降りないようにして下さい。